小さい頃からの親友が居た。

  突っ張ってて、人情熱くて、女みたいにネチネチしてて、

  ちゃらくて… 地元で唯一みんなから頼られていた



  それが、和哉。



  小学校のとき、森に一緒に火つけて怒られたよね、

  家庭環境の悪さが、ほんとは寂しくてふたりで泣いたよね

  涼くんと和哉と三人で海いってあたし泳げなかったよね

  真冬の夜中、三人で無駄に雪だるまつくったよね

  あたしが薬やって死にかけたとき、血相抱えて、

  「バカチビ」って顔ひっぱたいてくれたよね、

  中学のとき、先輩に三人でボコボコにされて

  土手で笑ったり泣いたりしたよね、

  三人で遊んでると、灰皿だれも片付けなくて山盛りだったよね

  くだらない悪いことばっかして、三人で笑いあっていたよね






  お互い、大人になってくにつれてあんまり遊べなくなった

  お互い、だれかに頼れなくなってた。

  そして和哉はいつしか薬に逃げた。

  マリファナ、バツ、…覚せい剤。





  コンビニの横で久しぶりに会ったとき

  本当にやつれた顔で「疲れた」って話してた和哉の顔

  忘れられないよ。





  「こんど一緒に飲もうよ」

  って約束した次の日だった。





  「和哉が死んじゃった」

  そんなうそのような知らせをうけたのは。

  急いで涼くんと和哉の家に行った。

  和哉の家では、無理して笑顔を作る和哉の母さんと

  両手をぎゅうっと握り締めて涙をこらえる和哉の父さんと

  ただ俯くだけの和哉の弟と

  布団の上でただ静かに眠る、和哉。





  突然で、ほんとにいきなりで、

  なんで?って気持ちでいっぱいで

  残るのは後悔と、自分の無力さ。






  あんなに元気で、バカで、優しくて

  あんなに側にいた和哉はもう、冷たい。

  和哉の頬に触れた瞬間、

  急に現実が押し寄せてきて

  我慢していた筈の涙が、止まらなくなった

  和哉の母さんに抱きしめられながら

  ずっとずっと子供みたいにわめいた






  涼くんのあのときの顔、まだ鮮明に残ってる。






  お葬式には何百単位の友達や身内

  和哉絡みのヤクザのひととか

  いろんなひとがきてた。






  あたしはただただ途方に暮れて

  だれのこえも聞こえなくて

  あんなに大好きだった和哉がもう居ないんだと

  そう思ってはまた俯いては泣いて

  和哉の名前を何度も何度も叫んだ。






  あたしがもっともっと側にいてあげられれば良かった

  あたしがちゃんと和哉の側にいれば

  変わっていたかもしれないのに。

  あたしは日にちも分からないまま後悔して泣いて






  栄養失調で、病院に運ばれていた。





  そんな壊れかけたあたしを見て、和哉の母さんは

  精神状態もボロボロのままなのに

  何度も何度もお見舞いに来ては、一緒に泣いてくれた



  和哉の母さんは、ある日 和哉の遺品を持ってきた。

  赤い、ヤンキーみたいなシャツ。

  あたしがずっとずっと和哉に「ちょーだい」って

  言っててなかなか和哉がくれなかったもの。






  その洋服を手にした瞬間、あたしは涙がまた

  止まらなくなって 和哉の大切さ、命のおおきさを痛感した。






  和哉はこれからも、あたしの中で生きてる。

  和哉のぶんまであたしが生きる。

  どんなに挫折しようが、どんなに辛いことがあろうが

  和哉の望んでいることはきっと

  あたしがここに生きていると言う事なのかもしれないから。






  同じ過ちは二度と繰り返さない。

  和哉の死は無駄にしない。

  いきものは、簡単に命を投げ出しちゃいけない。

  いのちはじぶんが考えているより

  はるかにおおきいものなんです。






  みんなもどうか自分のいのち大切にしてほしい。

  いまは辛くてもたのしいことぜったいある

  ぜったい楽しいことみつかる。

  たのしいことばっかりじゃないけど

  きっと見つかるはずだから、

  我慢できなくなったら、なににだってぶつけていいんだよ、

  がんばらなくったっていいんだよ、





  生きていてくれるだけで、充分なんだよ。






  みんなもどうか。和哉と一緒に生きてください。














  


































 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送